「仕事のプロセス」の教科書(鳥原隆志) 感想|検証不能な結果よりプロセスを振り返ろう
はじめに
本記事は『「仕事のプロセス」の教科書―――あなたを成功に導く「インバスケット」の思考法』(鳥原隆志著)を、インバスケットに初めて触れた人が読んだ感想記事です。
「昇格試験などで代表的なインバスケットの元となるプロセスの考え方を仕事に取り入れよう」と思い、本書を取りました。社内評価にプロセス項目があることは知っていましたが、あまり重要な観点と考えられず、成果ベースで振り返っていましたので、本書を読んでプロセスの重要性を理解し、プロセスの過不足の改善に繋げようと思いました。
読んでみると、プロセスの重要性が豊富な例でわかりやすく解説されていて、インバスケット思考に初めて触れる人にはオススメの本だと思いました。ただし、プロセスの過不足を検証したり、実際にテコ入れしていく内容ではないので、インバスケットテストの直接的な対策にはなりません。あくまで初心者が次のステップに進むための本です。
内容・感想
・プロセスの重要性を説く前半パート
・プロセスが欠けると成果が出ないことを、欠けやすい15のプロセスで例示
・まとめと本を読んだ後に取るべき行動
の主に3パートに分かれています。
① プロセスは安定して成果を出すための必須ツール
前半部はプロセスの重要性を説くパートです。最近体制が変わって業務量が増えたことももあり、がむしゃらに仕事を終わらせてようとした結果、優先順位の精度を欠き、失敗したばかりなので、身に染みるパートでした。
本当の実力者とは、持続して成果を出し続ける人で、一発屋ではありません。その人がどのように考えて、分析し、対策を立てた結果なのか。持続して成果を出し人はそんなプロセスがしっかりとしています。
成果は「プロセス」+「外的要因」の組み合わせであると思いました。
プロセスを無視した進め方では、外的要因でたまたまうまくいったところが多く、仕事量が増えたり、仕事の対象が変わったり、環境が変わると安定しなくなる。外的要因は自分でコントロールできるのではなく、プロセスを安定させることで初めて成果が安定しだす。さらに言うと、外的要因をプロセスに組み込む必要があるのでしょうね。
また、仕事の付加価値はプロセスに表れる、という観点もなるほどと思いました。
あなたに仕事を依頼する側は、結果だけを望んでいないからです。相手はプロセスを見ることで、依頼した仕事に付加価値を感じ取ります。
その結果は信頼のおけるものなのか、継続性がありそうで、次も依頼できそうかはプロセスを見ればわかりますもんね。最終的には自分にしかないプロセスを身に付けることが重要。
② プロセスを意識して計画・優先度付けを行う
中盤パートはストーリー形式。人事部員が、エリートの中で成果が出ない15人の社員と面談し、改善策を探っていく内容です。大げさに描かれていましたが、欠けやすいプロセスについて、欠けると成果が持続しなくなる様が説明されています。プロセスの大切さに気付けるし、紹介されるプロセスの中で心当たりのあるものも見つかり、自分事で読めました。
「4. パーフェクト病」、「9. 同時進行パニック病」では優先順位付けの確度が下がっている自分にとっては特に耳の痛い話でした。
各案件をプロセスに分解した上で、どのプロセスまでをいつまでに、を明確にしたうえで、重要なものの2割を8割の労力で、残りの2割の労力で8割の仕事をできる限り進め、重要な作業を見落とさないようにしなくてはならないですね。
③ プロセスの過不足を検証する。フィードバックの機会をもっと大切に
終盤パートでは、プロセスを検証し、過不足を解消することを説いています。
そう思うと、上司との面談はプロセス検証の絶好の機会。今までは普段の振り返りはもちろん、面談準備ですら、プロセスの振り返りが足りなかったなと反省しました。
普段から自分のプロセスを振り返ることは必要ですが、自分をよく知る人、自分の役割設定をしている人から客観的なアドバイスをもらえる機会なので、プロセスの観点で振り返って準備しようと思いました。
まとめ
以下が本書を読んで得た主な学びです。
・成果はプロセスと外的要因の組み合わせ。正しいプロセスを実践して初めて成果が安定する。
・その人の強み・仕事の付加価値は結果ではなく、プロセスに表れる。優秀、と言われている人たちは自分特有の売りになるプロセスを持っている。
・仕事をプロセスに分解すれば、計画や優先度付けがやりやすくなる。
まずは、持っている仕事を基本のプロセスに従って分解して書き出し、優先度付けをすることと、タスクの完了・面談のタイミングで、書き出して実行したプロセスが実際に必要だったプロセスに対してどの程度の達成度だったかを振り返ることをやってみます。